酒場で本気を出すの巻

エッセイ

大衆酒場好きのわたしは、お洒落なお店でお酒を飲むことがほとんどない。そんな中、先月いつもとはひと味違うかんじの酒場に入った。シュッとしたカップルが入ってきても違和感がない、落ち着いた雰囲気の立ち飲み屋である。とはいえ、おニューなお店ではなく、長く続く店ということもあってか、ほっこりした空気も持ち合わせている。

メニューにざざっと目を通したあとに、脳内のなんらかのセンサーが反応して、本気を出したくなってしまった。程よく創作している様子なのだが、あれもこれもセンスが良く、ここの店主、ぜったいにお酒が好きだよなって思わせてくれるラインナップだった。しかも大衆酒場レベルで安いもんだから、調子にのってしまう未来が見えた。

そのときすでに2軒目。そこそこお腹が満たされていた状態で入店したにもかかわらず、おいしそうなメニューが多すぎて、どういう組み合わせ・順番ならたくさん食べられるだろうかと真剣に悩んだ。お酒を一杯と料理を2品くらいの予定だったのに、結果的には、お酒2杯と料理6品たいらげてしまうことになった。水分をとりすぎると、料理が食べられなくなってしまうと思い、こういう結果になったのだった。

洋風酒場という様子ではないのに、調味料はさしすせそにとどまらず、軽やかにガーリックやオリーブオイルも使いこなしている。それがかっこよくって、じゃあこれはどうくるんだ?と思い、次の興味が湧いてくる。料理をつまみ、うんまいうんまい!とうなずきながらも、常にメニュー表が気になって、頻繁にちらちらとを見てしまうのだった。ああ、忙しい。忙しい。それに、食べすぎてくるしい。もう胃袋に隙間はないと思うまで食べて、ほくほくした気分で店を出た。

昨日、1ヶ月ぶりに2回目の訪問をしたのだけど、メニューの3分の1くらいは前回の内容と違った。メニュー表には、今日の日付が書かれている。毎日書き直しているようだった。どれを食べてもおいしくて、またしても予定より多く食べていた。

どて焼きやおでん、だし巻き、ポテトサラダ、枝豆……のような酒場の定番メニューはもちろんおいしくて、飽きる気配もない。それはそれで通いつづけるとして、酒好きの店主・スタッフでないと産み出せないタイプの料理・味付けを楽しみに行くのは最高だなあと。

そういえば、お店の方に「どれもおいしいです。安すぎませんか?」と言うと、「ありがとうございます。値段は、そうですねえ、立ってもらっていますんでー(汗)」と、謙虚でやさしいお返事。立ちますがな、立ちますがな!ささっとたくさん飲み食いして、ぱぱっと出ますがな!と思った。

訪問した翌日の今日。ほくほくした気持ちで、またあの酒場で本気を出すぞおおお!と、謎のやる気に満ち溢れている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました