カウンター越しの乾杯

エッセイ

大衆酒場が好きで、一人でもよく行きます。飲食店で働くことも実は好きで、気分転換になったり、知らないことを知れたりするので、隙間時間ができると単発でアルバイトをさせてもらうこともあります。楽して稼ぐことが目的であれば飲食店ではない気がするので、間違いなく私は飲食店が好きだということです。食いしん坊として、微力ながら、飲食業界を支える一人になりたいと思っています。

単発バイトで働く先は、庶民の私が普段遣いできる店ではなく、たいてい高級店です。大人たちの社交の場を覗ける場所でもあり、学びが多いんです。身だしなみにマナーがあったり、上座下座などを意識した接客をしなければならなかったりもして、単発にしては少々難易度高めです。でも、長時間勤務でなければ固定の職場でもないことを思えば、一層身が引き締まります。短時間で知らないことを吸収できた感があり、これが好奇心の固まりである私を刺激しているのだろうと思います。

大衆酒場でも高級店でも共通して、カウンター席でお客さんと料理人が語らうシーンを見るのが、私はすごく好きなんです。お客さんが「いただきます」と言って、美味しそうに食べるシーンはありふれていますが、時々お客さんと料理人が乾杯するシーンに遭遇することもあります。お客さんがカウンター内の料理人に、生ビールや瓶ビールなどをご馳走するパターンですね。たいてい、おじさまがたがご馳走しています。

料理人が「お疲れさん〜」などと声をかけられると、笑顔で「いただきます!乾杯!」などと言ってお客さんと乾杯し、仕事中だからでしょうね、ぐいっと飲みほします。このシーンが大好きで、遭遇したらラッキーだと思っています。そのあとも、笑顔の余韻がしばらく続いているような気がして、これがまた良いんです。

とはいえ、これってお酒が弱い人だと、そのあと仕事にならんだろうなと思ってしまいますが、まずいことになっているシーンは一度も見たことがないので、大丈夫なのでしょう。「ありがとう」と「お疲れさま」を贈るこのシーン。あったかいなあ〜と思うんです。見かけると、いつも記憶に残ります。

YouTubeの「かまいたちチャンネル」でも、濱家さんが行きつけのお寿司屋さんでマスターと乾杯していました。画面越しで、完全によそ者ながら、とても楽しい気分をおすそ分けしてもらいました。

飲食店で自分がおいしい料理やお酒を飲み食いして楽しい気分になるのはもちろんですが、カウンター越しの乾杯を見るのがすごく好きで……。今の私には貫禄がなさすぎて、ご馳走しますだなんて言いにくいけど、料理人たちよりすっかり年上になる頃には、「ありがとう」の気持ちをこめてご馳走したいと、密かに夢みています。

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